TSU・NA・GI

●Andante 1

  TSU・NA・GIの増ページ、及びわれらがHEP(Home Education Project)の志水先輩の卒業もあって、新たに正式なHEPの連載も今号から始まる運びとなりました。連載タイトルは、ご覧の通り「アンダンテ」。音の響きと意味が気に入ったのでこの題に決めました。ちなみにこれはHEPコアメンバーのリレー連載となります。今回は僕がHEPの家庭教師として派遣されていた時に感じたことをとりとめなく書いてみようと思います
 もともとHEPに家庭教師としてのマニュアルはありません。あくまで現場に派遣されている講師の裁量に任されます。そしてHEPの理念を逸脱しすぎないよう、そして子供と接していて不安に感じたことなどを月一回の講師達の分かち合いの場で現在に状況を報告しあうというシステムとなっています。
僕自身の中での子供に接するとき心がけているのが「ありのままの子供の姿を受け入れる」というものです。この目標は時として自分に重くのしかかります。家庭教師を終えて家に帰っているときに、自分の姿を顧みて「上手く接することができてなかったなぁ」と思うことが少なくないからです。毎回完璧に接することができる、とうぬぼれているわけではありませんが、そういった気付きがあった時、どうしても落ち込みます。でもこういったことを気付くことこそが大事なのだとも思います。「今日はここがイマイチだった」、きっとこういった気付きの度に自分自身を成長させることができる。そして一つステップアップするごとに自分の理想の姿に近づいていく。その成長はきっと接している子にとっても良いものに映ってくれると信じているからです。他人の気持ちは確認のしようがない、ならばかろうじて制御できる自分自身を信じることで生徒に応えることにしよう。独善的になり過ぎないよう加減しながら、こんな事を最近強く思ったりしてます。

(ここで少々HEPの説明を。Home Education Project、略してHEPとは、いわゆる不登校状態にある児童達に家庭教師を派遣するブレーンヒューマニティーの事業部の一つです。といっても学生が専門的なケアを行うわけではなく、あくまで学習支援を主軸とし、生徒達に近いお兄さん、お姉さんのような立場で接する家庭教師を目指しています。)。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
HEP事業部副代表
石黒 周祐

TSU・NA・GI第3巻 第1号(2001/4/20発行)より