TSU・NA・GI

●“relation”〜本会スタッフのリレーエッセイ〜 14

 「オモシロクナカッタ」1回生の時キャンプ中に子供にこう言われたことがある。予想もしていなかった言葉に思考が止まり、聞き間違えたかと思った。その企画は僕から見てもレベルの高いものであったし、スタッフの評判もよかった。「なんで?」キャンプ終了後、その子供のお母さんに聞いてみた。するとお母さんは恐縮し「すみません」というだけであった。初めて『ボランティア』という言葉が持つ、ある種の強制力を感じた。
 僕はそれから「イベント恐怖症」に陥った。「頑張っても全ての子供を楽しませることは出来ない、そしてなにより子供がホントに楽しんだのかを知ることは出来ない」こんな思いを持った。
 「やめよっかな」そう考えていた2回生の夏、仮設住宅を一軒一軒まわるという体験を
した。整然と並ぶ500戸のうち人がいるのは1割未満。仮設住宅の道の真ん中に半ば白骨化したスズメの死骸が落ちていたのを見て、「ここに子供を呼んでドカン!となにかしたい」と強烈に感じた。
しかし自信が無くなった自分に出来るか?誰もやったことが無い。自己満足?参加者は楽しめるの?そんな禅問答を一ヶ月続けた。不安の中でイベントの実施を決めた。
 イベントの日が来てしまった時も不安は消えなかった。
 イベントが終わった時、不安は消えなかった。でもそれと同時に大きな喜びも感じていた。不安と喜びが同居する心境の中で集合写真をとった時、「これでいいんだ」と思った。「キャンプに関わる全ての人を喜ばすキャンプなんてない」この想いを投げやりにならずに受け入れた上で、前に進めたような気がした。
 イベントをする時、終わった時、一度自分に問い掛けて見てください。「その子供はホントに楽しんだの?」
それでは、最後に橋本君にリレーのたすきを渡します。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
ボランティアスタッフ
水垣 慶太

TSU・NA・GI第2巻第10号(2001/2/25発行)より