wanted iPhone
またやってしまった。
iPhoneが見当たらない。
どこかに置き忘れてきたかもしれない。
ただ、時間は迫っている。ので、とりあえず事務所を出なければならない。
幸い行きなれた場所なので、スマートフォンがなくてもたどり着ける。
しかし、気になるのは時間だ。(この日は家に腕時計も忘れている。)
わりとぎりぎりの時間に出た認識はあるのだが、一体何分発の電車に乗れば、何分につくのか、
その正確な時間は全く分からない。
わからないので、とりあえず、気持ち速足で、駅へと向かい、気持ち速足で、乗換なども行う。
間に合わないことはないとは思うが、まあ遅いよりはいいだろう。
電車に乗って気付く。ほんとうにやることがない。
lineもGmailも全てiPhoneの中にあるのだ。
メモをとるのにもiPhoneを使う、全く仕事は進まない。
最近読んでいる本はkindle版だし、Twitterも、iPhoneがないと読めない。
誰かと繋がるには、スマートフォンがないといけない。
暇をつぶすのも、スマートフォンがないといけない。
なんて大変な時代なんだ。
そう。私は現代っ子なのだ。
仕方がないので、考え事をするか、誰かの話を聞くしかない。
幸い、近くにいた人が、霊の話をしていたので、聞いてみる。
受験期に差し掛かった子どもが、霊が見えるようになったというのだ。
おっちゃんが部屋の中にいるらしい。
泥棒やん…と思ってしまった。怖い。
その方曰く、受験の失敗を霊のせいにされては困るということで、
人形を除霊してもらえる場所を紹介してもらってるというのだ。
それも、かなりのお金がかかるらしい。
なんて大変な世の中なんだ。
でも、その通りだ。結果は自分の責任として、しっかり受け止めたほうがいい。
電車を降りて歩いて目的地に向かう。
歩いていると気付く。町中にはまったく時計がない。
困った。あまり早く着き過ぎてもやることがない。
しかし、遅刻はあってはならない。
待ちゆく人はみんなスマートフォンを手にしている。
時間を確認するのも、スマートフォンがないといけない。
目的地に到着するにも、スマートフォンがないといけない。
次の予定を確認するのにもスマートフォンがないとわからない。
なんて、大変な時代なんだ。
そう。お気づきの通り、私は依存症の向きがある。
なんだかんだで、無事に予定を済ませ、
WiFiを確保して、PCをつなげる。
とりあえず、iPhoneを探すを起動しながら。
どこに置いてきたんだろう…?と思いを巡らす。
・・・
・・・なんやねん。事務所にあるんかい。
ごめんね。iPhone。あとで迎えにいきます。
こまい