卒業生のみなさまへ

「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ。」

伊坂幸太郎さんの小説「砂漠」に出てくるこの一説

社会という「砂漠」に出る前の大学生たちの物語で、
大学生グループが大学生活のあるあるや少し奇妙な事件を体験するお話です。

さて、卒業生のみなさまご卒業おめでとうございます。
あと、1週間で大学生というカテゴリが終了ですね。

毎年ですが、もうみんな卒業するんだという気持ちです。
寂しいようなうれしいようなそんな複雑な気持ちになるこのシーズン。

この4年間みなさんの周りにはいろんなことがあったと思います。

大学生らしく飲み会をしたり、旅行に行ったりという日常や、
BHでめちゃめちゃがんばったり、
コロナになったりと非日常的な体験もたくさんしたと思います。

そんなみなさんの活動を見ていて、
ふとこの小説のことを思い出しました。

登場している彼、彼女らは
「砂漠に雪が降るような奇跡を待つのではなく、
自分たちの手で奇跡を起こそうとする」
そんな奴らなのです。

BHで活動してくれていたみなさんも同じような気がします。

参加者にどんなサービスを提供したいか
自分自身がどんな成長をしたいか
自分以外の誰かのために本気でがんばって考えたこの時間

誰かがなにかを届けてくれるような奇跡を待つのではなく、
自分自身でなにかを変えようともがき、苦しみ、喜びを共有し、
自分たちの手でいろんなものを手に入れようともがいた時間ではなかったでしょうか?

必ずしも思うような結果にならなかったことも多くあると思います。

でも、それにチャレンジした気持ちや経験は無駄ではなく、
きっと、未来に新たなチャレンジをしようとした際の礎になっていると思います。

それは、もしかしたら今は気づくことができない力も含まれているかもしれません。
でも、みなさんの中には必ずその力が備わっていると私は信じています。

私は思うのです。
チャレンジをした人の努力が無駄であっていいはずがないと

みなさんが4年間過ごしたこのブレーンヒューマニティーとは、
いったいなんなのだろうかとふと考えたことがあります。

ブレーンヒューマニティーとは、西宮北口にある事務所のことでしょうか?

ブレーンヒューマニティーとは、とあるNPO法人の名前でしょうか?

否。私は違うと思います。

ブレーンヒューマニティーとは、
そこで活動してくれているひとりひとりの個人であり集合体であるように思うのです。

今まで活動してくれた先輩たち
今年卒業する卒業生たち
今活動している現役生たち
そして、未来に活動するであろう大学生たち

そんなひとりひとりの存在がブレーンヒューマニティーを形作っていると思います。

たとえ、事務所がなくなっても、法人が解散しても、
そのひとりひとりは、いつまでたってもブレーンヒューマニティーの種であり芽であり木であり続けるのだと

卒業生のみなさま4年間本当にありがとうございました。
みなさんのおかげでまた1年ブレーンヒューマニティーは生き延び、
そして新しい人を迎え、前に進むことができました。

卒業生のみなさんの未来が良きものになることを心より願っております。

そういえば「砂漠」という小説の最後に大学の学長がこんなことを言っていました。

「学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、
オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。そういう人生は送るなよ」

みなさんの砂漠の先に素敵な街や森が広がっていますように
そして、私はみなさんの帰還をお待ちしております(笑)

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
理事長 松本 学