活動記録 |
高校生たちにとってフィリピンはどのようなものであったのだろうか。帰国直後の感動が落ち着いた時の最初の疑問だった。「BH-Habitat高校生フィリピンワークキャンプ」。実に1年の歳月をかけ、準備に取り組んだイベントであった。阪神間の高校から集まった生徒達がフィリピンへ行き、貧困層の人々の為に家を建設するというボランティアプログラムである。現地の人の助けになるだけでなく、若い高校生にとっても強いインパクト、そして学びがあるはずだと確信をもち続けた。フィリピンへ行くことで彼らが何かを学んだり、成長するということが私達の最大の目標であった。 高校生は6月からフィリピンへ行く準備に取り掛かった。お互いを知るために合宿を開き、フィリピンの諸問題を知るために勉強会を開催し、そして現地で行われる文化交流会の出し物を練習した。8月には猛暑の中、建設資材の購入のための街頭募金にも励んだ。徐々に参加メンバー同士仲良くなっていくが、本番直前になっても団体としての一体感はなく、フィリピンでの日々を心配した記憶が残っている。「このまま一緒に家を建設することができるのか、現地の人と交流ができるのか。」、不安で一杯であった。 しかし、その不安は建設サイトに来た初日に吹き飛んだ。目の当たりにしたのは、今まで以上のパワーで無邪気に現地の子供と遊ぶ高校生の姿であった。言葉は決して通じていたとは思えないが、現地の人々と心は確実に通じ合っていた。その後約一週間、家建設に従事したが、彼らの元気よさは衰えることはなく、無事完成式を迎え、ホームオーナーとその感動を分かち合った。最終日、現地人との別れを高校生は涙をもって悲しんだ。 スタッフとしては現地の方々との交流も楽しかったが、高校生との会話も面白みの一つであった。日本とフィリピンの違いに戸惑いを感じている者がいたり、日本にいた時にはなかった笑顔を見せてくれた者もいた。勿論高校生であるがゆえに起こったトラブルもあったが、何よりも彼らが明らかな変化を遂げている様子を垣間見ることが出来、ほんとうに嬉しかった。 9月になり高校生は日常に戻っていった。しかし、彼らが走り出しているのを感じる。フィリピンが彼らに何を与えたのかは一人一人違う。それが何であったのかを調べ、報告書に綴っていくのが私の最後の仕事であり、今の喜びである。 最後にフィリピンワークキャンプを実施するにあたって、協力してくださった方々に対して感謝したい。SALAMAT!!(ありがとう!!) フィリピン高校生ワークキャンプ 実行総責任 城戸 武洋 |