TSU・NA・GI

●「ぼくらのNPOのマネジメント」3

「言葉」と向き合う

 先日、あるワークショップで、「NPO」と「ボランティア」という「言葉」の定義づけについて話し合うことがあり、その場でコーディネーターをしていて、一つ痛感させられたことがあった。今回はその経験から「言葉」について、簡単ではあるが、思うところをまとめたい。
 最近では、「ボランティア」や「NPO」という言葉は決して珍しいものではなく、日常的に新聞などで見られるようになっている。それ故に、どういったものが「ボランティア」であり、「NPO」なのかということは、「それなりに」理解されているのではないかと考えていた。
 しかし、現実はそうではないようである。「NPOって最近よく聞くけど、それって何?」、そういった問いがよくワークショップでもされる。NPOが「(民間)非営利組織」なのだということは知っていても、それが「Not for Profit Organization」の略である事は知らない、と言う事もよくある。
 どうも、「言葉」だけが上滑りをしているようである。非常に都合の良い言葉として、消費されているのではないだろうか(誰によってかはともかく…)。NPO/NGO、ボランティア、コミュニティ・ビジネス、フェアトレード等など、これらの言葉を使うことで、使う側も使われる側も、何か分かった気になってしまう。この効果により表面的で体良く議論が片付けられていることは散見されることである。
 この様なイメージを伴った「言葉」がベースとなって、「NPO」「ボランティア」というものが捉えられているということは、「彼ら」の不勉強故なのか、それとも不理解故なのか。その一面を全く否定する気はないが、果たして「私たち」にも問題はないだろうか。
 現場で私たちは、「NPO」「ボランティア」という言葉をどの様に定義づけし、どの様に使っているだろうか。これらの言葉の定義の答えは「ある」ようで「ない」。現場個々で定義づけしなければならないと言われている。
 私たち自身も「言葉」やその「概念」と向き合わず、何となく使っていることはないだろうか。「言葉の共有、意味の共有」はマネジメント・プログラムのスタートに必要なことである。それは、マネジメント・プログラムの対象を明確にするからである。
 現場で「私たち」が、言葉と真摯に向き合うことが、世間一般での「NPO」「ボランティア」といった言葉/概念の理解をも促進するのではないかと考える。
 次々回は、BHでの「ボランティア」という概念を巡っての実践を報告したい。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
副理事長
川中 大輔

TSU・NA・G第3巻第4号(2001/12/1発行)より