TSU・NA・GI

●日本初 学生主体NPO法人の誕生に寄せる

  当会は去る3月1日、兵庫県知事より特定非営利活動促進法に基づく、特定非営利活動法人の認証を受け、1日に登記を完了した。これにより、正式に特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティーが誕生したこととなる。私たちの前身である関学学習指導会設立から約6年を経て、その活動は新たな転機を迎えた。
 1994年5月1日、関西学院大学の学生4名により設立された関学学習指導会は、以来、学生の試行錯誤とそれを支援する数多くの方々の協力により、形づくられてきた。それに関わってきた学生の数は、のべ200人を越える。「学生にこんなことができるのか」「身分不相応だ」そんな議論が何度も繰り返されてきた。学生団体としては珍しく収益事業を行い、その運営費を捻出する。一般から寄付を集め、被災児童支援のための基金を創設する。不登校の子どもたちを支援するため、研修を受けた家庭教師を派遣する。どれもいままで学生たちがやってこなかったことだ。ある意味において、私たちの歩みは学生の限界に対する挑戦であったのかも知れない。
 そして、今回、私たちは日本初の学生主体NPO法人という一つの証を得た。学生と言う身分は非常に自由でありながら、その故に無責任という印象を与えてきた。もちろん、私たちの活動においては、それを乗り越えるための努力が重ねられている。無謀とも思われるほどの挑戦の裏側には、無駄とも思われるほどの議論がある。
 これから私たちは法人としての歩みを始める。社会的な信頼が高まる一方で、その責任は今まで以上に大きくなるだろう。いま、役職員、スタッフ、ボランティア一人一人はその重みを感じ始めている。法人格の取得は、私たちから社会へ向けた宣言でもある。 「私たちはその知恵と力を結集します。」法人設立にあたり示された設立趣旨書は、高らかにこう謳っている。Brain(知恵、力)とHumanity(精神、思い)の融合が求められている。これから、その真価が試されようとしている。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー代表  能 島 裕 介

TSU・NA・GI 第4号(2000/3/20発行)より