TSU・NA・GI

●"Do Communications!" 20
〜“What can I do for you?”のこころ〜


 2001年の秋、当会HEP事業部では日本財団からの助成を得て「家族と考える不登校」というイベントを近畿各地で開催しました。学生達の運営のもと、不登校の子どもさんを持つ親御さんや関心のある方々にお集まりいただき、講演のあと派遣講師も加わって、小グループに分かれて、ざっくばらんなディスカッションの機会を持つという内容でした。
 お手伝い旁々A市で開催された会に参加したのですが、改めて一人ひとりの子どもさんや親御さんが抱えている悩み、必要とされている情報、様々なニーズがいかに個別的なものであるかということを実感しました。親として子どもとどう関わったらいいのか、明快な答えがあるようでない疑問に対して、それぞれの答えをみつけるプロセスとでも言えばよいのでしょうか。同時に、学校の先生は、“不要な登校刺激を与えない”方針で少しも関わってこなかったり、逆にこれでもか…とばかり不要な刺激を与えて来たり…。親の立場として、先生方とのかかわりには大変苦労されている様子も伝わってきました。
 学校という場は、親・子ども・先生・友達・その親といった人々の関わりが交錯する所です。こうした中で、親としてできることは、子どもの利益(我が子も含めた)を最優先に考えて率直に必要な事を伝えていくことでしょう。けれども、先生も結構頑張ってくれているのに、なぜかうまく噛み合わなくて状況がかわらないというような時もあります。誰しも、他の人と敵対して嬉しいわけはないはずです。こんな時は、文句を言う前に、「先生、何か私にできることあります?」と言ってみたらどんなものでしょうか。これは、子どもに対しても同じかもしれません。「?しなさい」や「あなたのために?なのよ」ではなくて「私は何をしたらいいかな?」「何か手伝えることはある?」と軽やかに言えたらいいのかなと気づきました。
 私事ですが、実は我が家はこの春やっと上の子どもが小学校に入ります。学校とのおつき合いから広がるスクール交際術、親子で学んでいきたいと思います。

(関西学院大学社会学部 専任講師 川島惠美)

TSU・NA・GI第3巻第5号(2002/1/1発行)より