TSU・NA・GI

●「のじまのつぶやき」 8 〜明け方の事務所で考えたこと〜

 最近の学生たちはパワーが有り余っているのかもしれない。
 つい先月の話、この夏、当会で実施を予定してる2つのキャンプの責任者の間で“紛争”が起きた。原因は、ここで書くと2回分くらいの連載が必要そうなので省略するが、その紛争の仕方がとても興味深かった。当会では、毎週火曜日の夜に役員会を開いているのだが、そこで2つのキャンプの問題が提起されることになった。双方の責任者が、それぞれの主張を展開した。時には感情的になり、時には理論的になり、議論は延々と続いた。そこには一方のキャンプのスタッフも集まり、総勢20名以上の会議となっていた。ただ、会議といっても議題があるわけでも、結論が出るわけでもなかった。責任者が、その思いや主張を発表する。それに対して、それぞれが感じていることを述べる。そんなやりとりが、朝まで続いた。役員会は午後9時30分に始まったのだが、終わったのは翌日の午前4時ころ。周囲の空は白み始めていた。もちろん、終わったといっても結論が出たわけではないのだが・・・。
 結論がはっきり出ないとなかなか居心地が悪い。でも、感情と感情が対立したときやコミュニケーションにミスが生じたとき、ある種の曖昧さが意味を持つことがある。白黒をはっきりと判断し、結論づけることは、もしかすると関係性を容易に断ち切るための手段になっているのかもしれない。
 近年、キレる少年たちの事件が報道されている。でも、夜遅くまで議論をし、葛藤しているスタッフの姿を見ると、お互いの関係性を断ち切ることなく、悩みながらも模索している様子が伝わってくる。別にはっきりと結論が出るわけでもない。しかし、そんな曖昧さへの粘りがやがて強さになることを密かに期待している。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー代表
能 島  裕 介

TSU・NA・GI第2巻第4号(2000/7/20発行)より