●「のじまのつぶやき」 15 〜涙とともに種蒔くものは〜 「涙とともに種蒔くものは、 喜びの声とともに刈りとらん」 関西学院千刈キャンプは、私たちにとってその活動の始まりの場所ともいえる。そのキャンプ場の玄関にこの言葉が掲げられている。このキャンプ場を訪れるキャンパーのほとんどはこの言葉にふれることになる。千刈キャンプはその創設から現在に至るまで、数多くの学生や教職員の手によって形作られてきた。この言葉は、その一人ひとりの汗や涙を思い起こさせる。 同時に、私たちにとってもこの言葉は大きな問い掛けでもある。あの千刈キャンプを形作った一人ひとりの努力とは比べるべくもないが、私たちもこの言葉に、ときに刺激され、ときに励まされ、ときに叱られてきた。困難な状況のなかで負けそうなとき、この言葉は勇気を与えてくれた。楽をして、形だけを取り繕おうとしているとき、この言葉は本当の姿を気づかせてくれた。 この春、およそ70名の学生ボランティアが卒業していく。彼ら、彼女たちは涙とともに種を蒔いてきた。その種は、しっかりと地に根を張り、芽を出しつつある。やがて、彼らは収穫のときを迎えるだろう。その時まで、私たちの意味が消えることはない。 |
特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー代表 能 島 裕 介 TSU・NA・GI第2巻第11号(2001/3/20発行)より |