●「のじまのつぶやき」 14 〜ボランティアと子どもの参画に関する一考察〜 この前、ボランティア・市民活動元気アップアワードというイベントがあった。これは兵庫県などが、県内のNPOやボランティア団体を公募の上、公開審査し、表彰しようというものだった。私たちもそれに応募して、当日、プレゼンテーションを行ったのだが、ある他の団体の発表を見て、とても驚いた。 その団体は、昔から、子どもたちの音楽演奏を行っている団体で、当日も大勢の子どもたちが登場して、楽器を奏でたりしながら発表をしていた。その発表は、非常によく構成されていて、かなりの練習をしていたのだろうと想像される。聴衆の多くも、その姿にいたく感心していたようだ。そして、その発表の締めくくりがとても印象的だった。おそらく指導者だと思われる大人たちの声に従って、「ボランティアってすばらしい」と子どもたちが声をそろえるのだ。 私はそれまでの発表を見ながら、どことなく違和感を感じていたのだが、その思いは最後に確信に変わった。なんだか某国のマスゲームを見ているような気持ちだった。子どもたちの一糸乱れぬ姿を見ていると、その奥に指導者である大人たちの必死に指導する姿が浮かんでくるのだ。 結構、社会のなかでも、子どもが主役といいながら、結局、その背後では大人たちが操っていることも多い。子どもの社会参画が叫ばれて久しい。でも、現実の多くは、子どもを飾りとして、大人たちがそれを利用している。もっと、子どもたちが主体的に、そして自発的に参画できる場はないのだろうか。そうすれば、もっと生き生きとして、「ボランティアってすばらしい」といえるのに…。 |
特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー代表 能 島 裕 介 TSU・NA・GI第2巻第10号(2001/2/25発行)より |