TSU・NA・GI

●“relation”〜本会スタッフのリレーエッセイ〜 10

 この夏は、夏キャン丹波キャンプなど、ブレヒューが最も熱くなった一時だと思う。その中でみんなは喜怒哀楽を共有し、貴重な体験をすることができたと思う。一回生や初めて参加した人は、ブレヒューという組織に対してどのような印象を受けたのだろうか?
 僕自身も大学一回生の時、いきなりスキーツアーを企画・運営することになり、能島・森山の圧力をひしひしと感じながら、充実した体験をすることができたことを懐かしく思い出す。しかし、ブレヒューはキャンプをすることだけが目的である組織ではない。ブレヒューは今年からNPO(特定非営利活動法人)となったが、それは現在の日本がその存在を求めていたからだと思う。
 戦後から日本は行政主導で経済を発展させることに成功したが、90年代に入りその機構がうまく社会の変化に適応しなくなったのである。経済の低迷をはじめとするこの沈滞した日本の世情において、国民は政府による行政に不信を抱き、政府は国民が求めるサービスを提供できなくなったのである。そこでその行政の隙間をうめる存在としてブレヒューをはじめとするNPOが誕生し、今その数を増やしてきているのである。
 例えば、ある地域が被災したという状況において、行政主導のサービスでは対応が遅かったり、サービスが被災者のニーズに適していなかったりする。そこで、この組織は、今までにもそのような事態の時には無料家庭教師派遣、子どもたちをキャンプに連れていき精神的ケアをするなどを行ってきた。それによって、どれだけの人が精神的に満たされる体験をすることができただろうか。
 確かに、大学生である我々自身が楽しんで活動することは不可欠な要素である。しかし、同時に我々が担っている役割、それによって与える影響というものを念頭に置きながら活動することも非常に重要なことだと思う。これからもさらに創造性に溢れたイベントや新たな事業が展開されるのであろうが、この組織が微力ながらも人間1人ひとりのニーズに合ったサービスを提供できることを願っている。最後にリレーのたすきを渡します。次は桂さんにお願いします。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
常務理事  
新開 政雄

TSU・NA・GI第2巻第6号(2000/9/20発行)より