TSU・NA・GI

●“relation”〜本会スタッフのリレーエッセイ〜 18

「人と関わること」 

少し前に、ある本の中でこんな一節を目にした。
「いい人であるとか、有能な人であるとかの役割を演じてもいい。どんな役割でも、喜んで演じているなら、幸せだ。役割に振り回されてしまうのは、不幸せだ。」
およそ一年前から、私はこのBHに関わりだした。初めは、自分がどのように行動すればいいのか、どのように関わればいいのか、不安と遠慮ばかりが私の中にあった。遠慮する気持ちばかりが大きくなり、自分らしさというものを表面に出す事ができなかった。私はこう思われているのかな、という当てはめられているであろう役割を必死に演じているようでもあった。もちろん、これはBHに関わりだしたからではなく、今までの生活においても同じことであった。人と関わる事、人間関係を築く事は、なんて疲れることだとずっと感じていた。
しかし、私が疲れると感じていた理由が、この本に出会って分かったような気がする。私は自分で勝手に作り上げた「他人からの理想像」というものに、ただ振り回されていただけなのかもしれない。演じることばかりが先走って、自分というものがそこには存在していなかったことに気付いた。もっと、役割を理解することから始めなければいけないのではないか…。そうやって視点を変えることによって、私自身に大きな変化があったように思う。喜んで演じる事、これは結局、喜んで演じているうちにそれが自分の姿となっていくということなのかもしれない。つまり、最後は演じることから離れ、自分らしさを出すことに繋がっていくのであろう。気を使わず、肩の力を抜いて、何でも言い合える仲間を手に入れること。私は自分が変わる事で、「私」として周りに接することで、新しい大切なものを手に入れた気がする。そして、このBHの中にも、私にとってかけがえのない「人間関係」がたくさん存在している。私は、もう人と関わることがしんどいとは思わなくなった。もちろん、状況によって苦労することも多々ある。しかし、どんな時も常に私らしさを失わずに、自分というものをしっかり持っていたいと思う。

 最後に、このリレーのたすきを池内摩耶さんにたくします。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
米澤 亜維

TSU・NA・GI第3巻第3号(2001/9/5発行)より