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●「タッキーの海外NGO日記」1  

 僕は今、ノルウェーの“One World Volunteer Institute”という学校で、ザンビアにおいてNGOスタッフ(開発ワーカー)として半年間働くためのトレーニングを受けています。山奥にある学校なため、6月中旬というのに、やっと春が始まりそうだと感じられる気候です。ちなみに、ノルウェー人はこれを夏と読んでいます。そんな寒い北欧の地で、アフリカに行くためにどんな準備をしてるん?と疑問に思う人の為に、第1回目の今回は、プログラムの紹介をしたいと思います。
 僕の理解では、プログラムは二つの柱「Knowledge(知識)」と「Experience(体験)」から成っています。前者はいわゆる勉強なのですが、後者はこの学校特有のものです。自分への挑戦、仲間との協力、問題解決を、実体験を通して学ぶというのがコンセプトです。例えば、「かまくら」を作って、その中で一晩すごすとか、サバイバルトリップ×3日間などが、その一例です。
僕ら生徒たちにとって、最もチャレンジングなものが、ファンドレイジング(アフリカのプロジェクトのための資金集めの活動、以下FR)です。計6週間、スカンジナビア諸国の各都市の路上での募金活動、もしくは冊子販売を通して、一定のターゲットを達成する事が、アフリカ行きの条件となっています。FR自体、精神的・肉体的に自分が試されるのですが、期間中は最低限の資金(1日500円の食事代)をうまくやりくりして過ごさなければならないのも、もう一つの課題です。食べるお金がなければ、レストランにお願いして、ただで食べさせてもらったり、交通手段がなければヒッチハイク、といった具合です。
これは僕が2人の仲間と共にコトカというフィンランドの街に行ったときのことです。手違いで 週間の宿泊場所がないという緊急事態に陥ってしまいました。まさか野宿というわけにはいかないので、教会やホテルをまわって、寝床の無料提供をお願いする事に。早速、地図を片手に頼んでまわり、2時間後、街外れの小さなホステルの小さな1室を貸してもらえることになりました。
ボランティアで来たとはいえ、僕らは見知らぬ外国人。お互い英語もそんなに話せないのに、ホステルの女性は気軽にOKしてくれました。彼女を筆頭に様々な人の助けを得て、何とかここまで4週間分のFRを終えました。
「どんなに困難な状況であっても、成功を信じると必ず道は開ける」、僕はこれを信じているし、経験してきたんですが、今回ばかりは体と心へのダブルパンチで「ダメだ」と思ってしまうほどでした。4ヵ月後、アフリカに行ってからも、困難な状況は十分にあり得るでしょう。プロジェクトが財政難であったり、文化の衝突であったり、そんな時にこの経験が活かされればと思っています。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
理事
瀧本 康平

TSU・NA・G第3巻第2号(2001/6/20発行)より