TSU・NA・GI

●「タッキーの海外NGO日記」2  

「The Art of Fundraising!?」

 スウェーデン第二の都市ヨーテボリの大通りで、日本から来た学生が買物帰りの主婦に話しかける。
「こんにちは!僕は今ノルウェーの学校でトレーニング中で、10月からアフリカで働くボランティアの康平です。僕らの団体は、アフリカ各の村々でエイズ予防プロジェクトを実施しています。(中略)もし、賛同してくださるなら、この本を買うことで当団体をサポートしてください!」
 寄付文化の浸透してるヨーロッパとはいえ、20ページほどの薄い本に800円弱も払う人はそんなにおらず、2、3時間続けても1冊も売れないこともよくあります。ターゲットを達成できないかもしれないというあせりで、この街の人は心に余裕がないとか、本の値段設定が高すぎるといった文句が次々と浮かんできます。結局そんな理由づけは間違っていて、問題は自分の外側にあるのではなく、自分自身にあるということに気づきました。
 というわけで、僕がとった方法は、この状況を楽しむ事。どういった話し方をすれば、相手が財布の口を開くのか研究することにしました。これが意外とおもしろいのです。どんなに断られつづけていても、まずは満面の笑みで始めます。天気がいい日には、「こんなラブリーな日に突然邪魔して申し訳ないですが(日本語に訳すと本当に変に聞こえますが)」と声をかけたり、細い目を大きく開いて自身たっぷりの表情で説明したり、相手との距離や角度を変えてみたりと、いくつもの実験を経て、相手の興味、信頼を得る話し方を探求してきました。今では、これについて論文でも書けそうな勢いです。見知らぬ土地でのこうした経験は、いわゆる勉強よりも、アフリカで役立つかもしれません。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
理事
瀧本 康平

TSU・NA・G第3巻第3号(2001/8/5発行)より