●「のじまのつぶやき」 13 〜秋のプールで思ったこと〜 昨年の11月に水中ピエロ大作戦というイベントが行われた。これは水中パフォーマンスを行うトゥリトネスというグループによる水中ショーと水泳教室のイベントである。秋のプールで子どもたちがはしゃぐ姿をみながら、かつてある後輩が私にいった話を思い出した。 彼は中学、高校と水泳部で水泳を続け、現在では私たちの組織のボランティアスタッフとして活動している。それは彼が高校の時の体験であったらしい。夏の合宿ではかなりの長距離を泳ぐ練習があるのだという。そのなかで、彼は自分の体力が極限に近づいたとき、ふっと体が楽になったというのだ。それを彼はこんな表現で説明した。「体力が極限に近づくと、自然に体が楽な泳ぎ方を覚えるのです。」私は全くスポーツをしたことがないので、こんな経験をしたことはないのだが、なんとなくその気持ちは分かるような気がする。 私たちのボランティアスタッフはそれぞれにかなり過酷な状況で活動している。精神的にも、体力的にも限界を感じることも少なくはない。しかし、彼らが限界に近づいたとき、それを乗り越えるような方法を彼ら自身が見つけ、前に進んでいる。それは決して理論で語れるものではない。自分の身体で体験しなければ身につけることができないことがある。彼らがこの組織での体験を通して、自分さえも知らなかった能力を発見することを願っている。 |
特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー代表 能 島 裕 介 TSU・NA・GI第2巻第9号(2001/1/1発行)より |